プロジェクト紹介

カラチ港及びビンカシム港治安強化計画(パキスタン)

PROJECT 04 Pakistan
ODA

カラチ港及びビンカシム港
治安強化計画(パキスタン)

パキスタンはテロとの闘いの成否を握る国のひとつ。その港湾の治安強化を日本が支援。無償資金協力により大型X線検査装置を港に設置するプロジェクトが立ちあがった。

カラチ港及びビンカシム港治安強化計画(パキスタン)

MEMBER Takahiro Morimoto

森本 高広
森本 高広 プロジェクト部 国際協力プロジェクト課

SCENE #1

パキスタンの治安強化が同国の発展と国際平和に寄与

パキスタン(パキスタン・イスラム共和国)は、世界第6位の人口と日本の約2倍の国土を有するイスラム教・民主主義国であり、日本と友好関係を有する親日国でもある。
アジアと中東の接点に位置し、アフガニスタンと隣接する同国は、地政学的にみてテロとの闘いの成否を握る国のひとつだ。同国政府も治安対策やテロ防止を重要視し、国境や港湾における警備を強化している。しかし、同国を代表する国際港であるカラチ港及びビンカシム港は国際的な安全水準が満たされておらず、検査体制の整備が喫緊の課題となっていた。

SCENE #1

日本は、パキスタンのテロ対処能力の向上が同国の安定と発展に不可欠であり、地域の平和と安定にも資するとの考えから様々な支援を行ってきたが、カラチ港及びビンカシム港の治安強化にも無償資金協力の形で支援を決定。両港における物流、輸出入にかかる国際的信用を向上するため、国際的水準に合致した大型X線検査装置の整備等を行うことが決まった。

SCENE #2

丸紅プロテックスは国際協力プロジェクトの先導役

プロジェクト部国際協力プロジェクト課は、日本のODAプロジェクトを中心に、公的資金のプロジェクトを手がけてきた長い歴史があり、その取扱い分野は多岐に渡っている。昨今の世界情勢から増加傾向にある治安対策に係る国際協力プロジェクトについても実績を重ねており、国境向け大型X線検査装置をはじめ、空港向け保安機材や監視カメラシステム、警備艇などの整備を手掛けてきた。

SCENE #2

先の決定を受け、森本高広を中心とするチームはプロジェクトを発足して各方面にアプローチを開始。プライムコントラクター(元請業者)として、プロジェクト全体の契約マネジメントを行ってきた。
具体的には、発注者であるパキスタン政府との契約履行に係る折衝や協力企業(大型X線検査装置のメーカー、機材格納建屋の建設業者、機材の輸送業者等)との調整等を通じて、プロジェクトを円滑かつ効率的に推進すべく、その先導役を務めることが丸紅プロテックスの役割となる。

SCENE #3

工事ができない! 想定外の問題にいかに対処するか

様々な手続きや調整を経て、やがて装置や資材がパキスタンに運び入れられ、いよいよ現地で大型X線検査装置の設置工事が始まるというとき、プロジェクトが暗礁に乗り上げた。コンテナをまるごと検査できる大型X線検査装置を港に設置するには、それなりのスペースが必要だが、その予定エリアが物置として勝手に占拠されている。しかも、プロジェクトを管理する外国人の港への立入りが厳しく規制され、現場に近づくこともままならなくなったのだ。関係者に依頼して荷物を撤去してもらっても、また別の荷物が置かれるという繰り返し。入港許可もスムーズに取得できず、港に入ることもままならない状態で、解決の目処も見えなかった。
プロジェクト推進には大小様々な課題があり、想定外の問題に直面する。トラブル解決には苦労するが、そういった経験を通して、状況を見極める判断力、意見の伝え方・纏め方など周囲との調整力、そしてプロジェクトを押し進める行動力などが身についていく。艱難辛苦を乗り越えてこそ使命が果たせるのであり、国際協力プロジェクトを先導する意義がある。
森本が大切にしているのは、問題を具体的に相手に示し共感してもらうこと。また、できるだけ幅広い関係者に相談し、多面的なアプローチをとることだ。
現場の占拠については、現地の協力企業と相談し、障害物が撤去された直後にバリケードを張り、常に監視を置くことで解決した。入港制限は、多くの機関の利害が絡んで最後まで解決には至らなかったが、パキスタン政府の窓口に対して、プロジェクト遅延の重大さを訴えるなど、様々な視点から解決を試みた。
2015年に調印され、16年から始まったこのプロジェクトはほぼ3年の期間を経て18年末に完成。パキスタン政府に引き渡された。森本たちプロジェクトメンバーの足跡がまたひとつ世界地図の上に刻まれた。

SCENE #3