プロジェクト紹介

インド大手製鉄企業向け製鉄熱間圧延設備の導入

PROJECT 02 India
Plant & Machinery for Steel Industry

インド大手製鉄企業向け
製鉄熱間圧延設備の導入

経済発展著しいインド。産業を基盤から支える鉄の需要も旺盛で、鉄鋼メーカーは製鉄所を増強中。その一角を成す製鉄A社に日本製のホットストリップミルを納入する。

インド大手製鉄企業向け製鉄熱間圧延設備の導入

MEMBER Tatsuya Oba

大場 達也
大場 達也 プロジェクト部 産業プラント課

SCENE #1

製鉄所向けプロジェクトを立ち上げるためにインドへ

インドにある丸紅の現地法人から東京の丸紅プロテックスに情報が入る。製鉄A社が「新規設備導入の検討を開始した」。
経済発展の著しいインドでは、産業の基盤を成す鉄鋼業が成長を続けており、大手各社が製鉄所を次々に増強。まさに群雄割拠といった状況だ。世界各地で様々なプラント輸出を手掛けるプロジェクト部産業プラント課にとって、インドは重点市場であり、なかでも製鉄所向けプロジェクトは活況を呈している。

SCENE #1

情報を入手したA社はインドの大手製鉄所。ホットストリップミル(熱間圧延設備)を導入したい意向だ。ホットストリップミルは、高炉で製鉄された鉄の塊をいくつもの圧延スタンドを通過させながら延ばして鉄板にする、数百メートルにもおよぶ巨大な装置だ。高炉を頂点とする製鉄所の設備は、高い技術を要する。特に鋼板を製造する圧延設備は、日本とドイツメーカーの独壇場となっており、ホットストリップミルを製造できるメーカーも日独等の数社に限られる。
産業プラント課の大場達也は、さっそく日本の1社に白羽の矢を立てコンタクト。インド側の胸の内を探るべく、メーカーのエンジニアと一緒にインドに飛んだ。

SCENE #2

商社が間にいなければプロジェクトは成立しない

プラント輸出における丸紅プロテックスの役割は、技術面および商務面の協議アレンジから、価格交渉、契約交渉、そして調印を経ての船積み、製鉄所への据付け、代金回収までの履行である。
では、なぜそこに商社がいるのか。本来であれば、買い手であるインド側製鉄メーカーと売り手である日本側機械設備メーカーが直接取引をすればいいことだ。それは、第三者的な立場で、互いの利害や思惑を調整したり、ときにプライドやメンツを尊重しながら、プロジェクトをビジネスとしてまとめ上げる人間がいなければ、プロジェクトそのものが成立しないからだ。
協議・交渉は、対立から始まると言っても過言ではない。
「インド側は、こういう設備がほしいんだ、いつから操業を開始したいんだととにかく理想のスペックや納期を要求してくるのですが、日本側のエンジニアにしてみれば、そんなハイスペックを達成しようとすればとんでもない投資金額になるし、とてもその納期には間に合わない。そもそもそんなハイスペックは必要ないでしょうとなります。まったく話がかみ合わない状態で、そこがスタートでした」と大場は振り返る。

SCENE #2

そんな調子だから技術協議は何度も激論を重ねることになるが、協議の方向性を握るのは、司会役でもある丸紅プロテックスだ。双方の本心を探りながら、条件を提示しつつ、互いの意見を寄せていく。ただし、インド側はなかなか譲歩しないため、ときに交渉は決裂。「We will go back to Tokyo tonight.」と言って本当に日本に帰ることもあったという。それも駆け引きのうちだというから交渉はタフだ。仕様やスペック、納期、価格などに合意し、調印に至るまでに丸2年の期間が必要だった。
大場は思う。商社の仕事とは、自分を売り込む仕事。誰が担当しても同じなら自分である必要はない。知識も大事だが、ときにはハッタリやバカになることも求められる。自分の存在意義を高めるため、今は経験を積むことが大切だ。

SCENE #3

幾多の苦難を乗り越えホットストリップミルが稼働

調印してからがプロジェクトの本番。履行業務である。日本側メーカーでは機械単位、設備単位で次々と図面が起こされ、インド側の承認を得て製造に取りかかるのだが、現地の規格やスペースなどの関係で随時修正が入り、内容によっては技術打合せにインドに飛ばなければならない。そのアレンジや調整も商社の役割であり、スケジュールやコストを管理するため技術の打合せにも同行する。全てが契約の世界。その都度、承認のサインをもらうことがトラブルを回避するためには重要なのだ。
ホットストリップミルの製作期間は全体でおよそ24カ月。1隻の船に載りきらないため、完成した機械から順に20回ほどに分けて輸送される。その手配と現地への連絡、据付工事の手配を行い、その工事を管理。試運転ができるようになるまでに10カ月。そこからがプロジェクトのクライマックスで、日本からエンジニアが来て要求されるスペックが出来るように調整作業が進められる。履行の完遂には3年半を要したが、実際に設備が稼働し、真っ赤な鉄が流れる様は圧巻の一言。この感動の瞬間に立ち会うために苦労を乗り越えてきたと言ってもいいだろう。この鉄がインドの人々の暮らしを豊かにすると思うと夢を感じるし、地域の発展に貢献できるという充実感も味わえる。
ただし、登山家にとっては下山するまでが登山であるように、商社の人間にとって代金を回収するまでがプロジェクト。問題なく稼働できたことを確認し、契約代金全額の入金確認まできっちり詰めることも忘れてはならない。

SCENE #3